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2020年6月28日日曜日

つながる子どもたち ( Mexicoより)

仲間たちとボランティアで運営する「ストリートチルドレンを考える会」が応援している、メキシコシティのストリートチルドレン支援NGOに、Casa Alianza México がある。私とパートナー(フォトジャーナリスト)の篠田は、もう30年ほどつながりを保っている仲間だ。そんな彼らが、このコロナ危機下で「初めて始めた」ことがある。5カ国の子どもたちをつないだオンライン・アクティビティだ。

Casa Alianza は、米国ニューヨークに本部を置く国際NGOで、英語ではCovenant Houseという。そのメキシコ・中米版が、Casa Alianzaだ。現在、ニューヨークとメキシコシティ、グアテマラシティ、テグシガルパ(ホンジュラス)、マナグア(ニカラグア)に拠点を持ち、路上生活をしている・していた子どもたちへの支援活動を展開する。子どもが、路上生活を抜け出し、大人になって自立するまでの生活を支える定住施設を持つ。その定住施設「グループホーム」に暮らす子どもたちは皆、現在コロナ問題のために外出自粛中だ。過去に受けた暴力や虐待の体験、薬物依存などから、もともと精神的に不安定な状態にいる彼らが、狭い空間での共同生活を長く続けることは、喧嘩や鬱状態など、多くの問題を生む。

そんな陰鬱な空気を打ち破り、子どもたちが安心して困難を乗り切れるよう、グループホームのスタッフは、あの手この手で彼らの気を紛らわし、前向きになれるようなアクティビティを考えているという。そんななか浮上したのが、「5カ国のグループホームをオンラインでつないで、互いのことを発表したり、コンテストをやったりする」というアイディアだ。メキシコのスタッフが提案した。

第一回は、それぞれが暮らす「ホーム」について、子どもたちが紹介しあったという。全員参加が原則だ。これまで会ったことがなく、存在も知らなかった、別の国に生きる仲間たち。彼らとの出会いが、子どもたちに新しい楽しみやモノの見方をもたらしたという。

どんなに辛い状況の中にいても、「ひとりじゃない」という感覚こそ、ひとの心を救い、命を救う。コロナ危機がもたらした「つながり」が、憂鬱な日々を送る子どもたちの心に、新たな希望を生み出したようだ。